この記事では、休業手当の支給金額の計算方法についてご紹介します。
ご参考下さい!
休業手当とは
まずは、『そもそも休業手当とは何なのか!?』について考えてみます。
労働基準法によると、休業が使用者の責任で発生したものである場合に、使用者から労働者に支払われる手当を休業手当と位置づけています。
その休業手当ですが、支給される金額は、平均賃金の 100 分の 60 以上の金額を支払わなければならないとされています。
では、次に休業手当の計算方法、その中でも平均賃金について考えてみましょう。
休業手当の計算方法
平均賃金とは
休業手当の支給金額を考える上で、休業手当の1日分は平均賃金1日分の100分の60以上となるわけですから、平均賃金を理解する必要があります。
この平均賃金とは、基本は前3ヶ月間に支払われた賃金の1日平均額となります。
具体的な計算式としては、下記になります。
平均賃金の計算方法
平均賃金1=算定事由発生日以前3ヶ月間に支払われた賃金の総額/算定事由発生日以前3か月間の総日数
※「以前3ヶ月間」は算定事由発生日の前日より遡る3ヶ月間。算定事由発生日当日は含まない。
※賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日を起算日とする。
ただし、日給制・時給制・出来高払制その他請負制の場合、下記の金額を下回ってはならないとされています。
日給制、時間給制、出来高払い制の最低保障の計算式
平均賃金2=〔以前3ヶ月間に支払われた賃金の総額/その期間中に労働した日数〕×〔60/100〕
また賃金の一部分が月給制や週給制で、その他の部分が日給制、時間給制、出来高払い制などの場合も同様に下記の金額を下記の金額を下回ってはならないとされています。
賃金の一部分が月給制や週給制で、その他の部分が日給制、時間給制、出来高払い制の計算式
平均賃金3=〔以前3ヶ月間に支払われた月給、週給の賃金の総額/以前3ヶ月間の総日数〕+上記例外①の計算式
具体例で平均賃金を理解する
計算式だけでは、いまひとつ掴めない部分もあるかと思います。
ここからは具体例で平均賃金を考えてみましょう。
例えば、労働契約が日給制で、直前3カ月分の賃金の総額が27万円、3ヶ月の日数が90日、実際に労働した日数が30日だった場合で考えてみます。
基本の平均賃金1日分の計算
①計算式:270,000(円)÷90(日)=3,000(円)
平均賃金1日分が下回ってはならない金額(最低保障)
②計算式:270,000(円)÷30(日)×60%=5,400(円)
平均賃金1日分の金額
この場合、①より②の方が高いため、平均賃金1日分の金額は5,400円となるわけです。
そのため、休業手当が必要な場合、その手当の1日分の金額は以下のようになります。
5,400(円)÷100×60=3,240(円)
以上により、休業手当1日分の金額は3,240円以上となるわけですね。
平均賃金から除外されるもの(参考)
平均賃金を計算する上で基礎となる賃金の総額には、算定期間中に支払われる賃金の全てが含まれます。
ただし、その中でも含まれず除外されるものがありますので注意が必要です。
算定期間中の総日数と賃金の総額の両方から除外されるもの。
① 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
② 産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間
③ 使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間
④ 育児休業、介護休業をした期間
⑤ 試みの使用期間
算定期間中に賃金の総額から除外されるもの
① 臨時に支払われる賃金
② 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
③ 通貨以外のもので法令又は労働協約の定めに基づかないで支払われた賃金
平均賃金の算定事由発生日
最後に休業手当を計算する上で平均賃金の算定が発生する日ですが、これは
休業日の初日となります。
平均賃金はその前日を起算日として計算されるわけですね。
まとめ
今回は『休業手当の支給金額の計算方法について』特集しました。
手当を計算する上で平均賃金という考えが基本となっているため、正直、分かりにくくなっていますが、自分自身の事例に置き換えて計算すれば理解も進むかと思います。
最後に参考として、休業手当の根拠となる労働基準法第26条の条文と平均賃金の根拠となる労働基準法第12条の条文をご紹介します。
休業手当 労働基準法 条文
1 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の 100 分の 60 以上の手当を支払わなければな らない。
引用元:労働基準法 第26条 解雇予告手当
平均賃金 労働基準法 条文
1 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。
引用元:労働基準法 第12条 平均賃金
一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額
2 前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。
3 前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。
一 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
二 産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間
三 使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間
四 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業(同法第六十一条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)に規定する介護をするための休業を含む。第三十九条第八項において同じ。)をした期間
五 試みの使用期間
4 第一項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。
5 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、第一項の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
6 雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする。
7 日日雇い入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。
8 第一項乃至第六項によつて算定し得ない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによる。
以上、『休業手当とは|いくら払う・もらえる!?支給金額の計算方法』でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。