こんにちは。
この記事では、米国で成立した香港での人権尊重や民主市議の確立を支援する法律「香港人権・民主主義法」についてわかりやすく簡単に解説します。
香港人権法の目的、米中関係、為替や株価への影響などを特集します!
ぜひ、ご参考下さい。
香港人権法とは|法律の目的と制定経緯
香港人権法とは、米国が香港の逃亡犯条例改正案によるデモ騒動に対し、中国大陸への容疑者引渡しに関する香港政府の主要官員を牽制するため 、米国上下院で可決された法案で、2019年11月27日にトランプ大統領が署名して成立した法律を指します。
香港人権法の柱は、香港に高度な自治を認める中国の「一国二制度」がしっかりと機能しているかどうかを、米国政府が毎年検証することを義務付けていることです。
この香港人権法に対して中国は「著しい内政干渉」と強く非難しており、米国に対して報復措置を行う考えを示しています。
香港人権法の具体的内容
では、この香港人権法とは、具体的にどのような内容・対応を行う法律なのでしょうか?
先ほどご紹介した「一国二制度」がしっかりと機能しているかどうかを米国政府が毎年検証することを義務付けることを含み、下記のような内容がポイントとしてあげられます。
【香港人権法の具体的内容】
①香港で「一国二制度」が機能しているかどうかを米国政府が毎年検証することを義務付け。
②香港で人権侵害を犯した人物を、米政府が米議会に報告。その結果、対象人物の米国への入国を禁止するなどの制裁を科す。
③香港政府がデモを先導した容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする法律を提案・制定した場合に、香港在住の米国人を保護する戦略を米国政府が策定。
④香港を介して米国からハイテク製品などを不正輸入しようとする中国の取り組みを米政府が毎年検証。
このような内容・対応を通じて、米国は香港のデモ隊への強硬姿勢を強めている中国政府と香港政府を牽制したいと考えています。
香港人権法の為替や株、世界経済への影響
冒頭にご紹介しましたが、中国は米国内で香港人権法が成立すれば、「著しい内政干渉」として、米国に対して報復措置を行うと宣言しています。そうなると、現在、世界経済の成長において最も足かせとなっている「米中の貿易戦争」が激化することは避けられません。
香港人権法が成立する前の市場では、年内の米中通商交渉の「一部合意」に対する期待から世界的に株高が進んでいました。しかし、その「一部合意」が絶望的となれば、投資家の期待は失望に変わり、株価は下落することが予想されます。
さらに、この合意が得られないのであれば、12月中旬に予定されている米国による中国に対する第4弾の関税制裁も撤回されず、発動されることとなります。
このような流れになると、米国と中国との関係悪化が、世界経済に一段と悪影響を及ぼすことになります。
一方為替については、香港人権法による米中通商交渉への悪影響を懸念したリスク回避の動きから、円の「強含み」が続くと予想されています。
また、米中の貿易戦争は円を押し上げる要因であると同時にドルの買い材料ともなると考えられています。そのためドル・円については、ある程度下値も堅いというのが専門家の見解です。
米中の貿易戦争自体に市場が既に慣れてしまってきている感もあり、今回の香港人権法を受けても、為替においてはそこまで大きな影響は与えないと考えられます。
今回の米国での香港人権法の成立を受けて、米中の貿易戦争の悪化は不可避です。またこの法律は、香港の逃亡犯条例改正案によるデモ騒動に対しても影響を与えるでしょう。
香港人権法を巡る今後の動向に注目したいところです。